「鳥よ!」

随分昔に、「鳥よ!」という名前のブログをやっていたことがあります。なんでそんな名前になったのかを書いたら、だいぶ長くなってしまいました。

 

まず初めに、私はウサギを飼っていました。うさ原という名前の、グレーのミニレッキスで、私にとってはとても大事なウサギでした。ミニレッキスってわかりますか?レッキスの小さいやつです。レッキスってわかりますか?毛皮用のウサギです。私はうさ原を、ペットショップで、25000円で買いました。それを聞いた母親は、「レッキス3匹ぐらい使ったマフラーがセールで5000円で売ってたよ」と教えてくれました。そういえば母にはうさ原の容姿をさんざん面白がられましたが、そのときはうさ原が世界で一番かわいいウサギだと思っていたので全然意味がわかりませんでした。今になって写真を見ると、ウサギだけど相当馬面なタイプのウサギで、割と面白い顔をしてたんだなとわかります。私には子どもがいて、私にとっては結構かわいい顔をした子どもなのですが、たぶん後で写真を見返すと面白い顔してる感じなんだと思います。

彼を飼い始めた直後に、ブログを作りました。そのとき私はブログの名前を「月に帰るな」と名付けました。ご存じの通り、月にはウサギがいます。ウサギを飼っている人たち(通称うさ飼い)は、ウサギが死ぬことを「月に帰った」と言い慣わしていて(今でもそうなのかは、わかりません)、だから私は、ウサギの長寿を祈る気持ちをこめて「月に帰るな」と名付けました。ちょっと気持ち悪いですね。

その年の冬のことです。うさ原は床に落ちていた私の睡眠薬(そのときはハルシオンでした。関係ないですが、ハルシオンって、プリオシン海岸とハルジョオンに似ていますよね。カンダタカンジダくらい似てるなあと思います、激似ってことです)を齧って飲み込んでしまい、入院してしまったのです。

洒落になりません。ブログタイトルが。

私は泣きながらブログのタイトルを変えました。「鳥よし」に。

近所にあった焼き鳥屋の名前です。悔恨で曇った目に看板の文字が飛び込んできたので、もうどうでもよくなってその名前にしてしまいました。ちなみに、割と老舗でしたが、こないだ通りかかったら、別の店になってました。なんだか寂しかったです。

幸い、うさ原は一命をとりとめました。入院費に12万円かかりましたが、うさ原の命と比べたら安いものです。

結局、4年しか生きなかったんですよね、うさ原。でも私にとってはとても濃厚な4年間でした。ありがとうねうさ原。

さて、「鳥よし」にしてしばらく経ちました。ふとアクセス解析を見てみると、なかなかの数「鳥よし」で検索して辿り着いちゃった人がいるんですよ。さあ、焼き鳥食べたいのに謎の駄文見せつけられる身にもなってみてくださいよ、なってみましたよ。ひどいもんでしたね、怒りに震えました。そこで、私はまたブログタイトルを変えようと決意しました。これ以上検索を邪魔するゴミになりたくなかったからです。

こうして私はブログを「鳥よ!」にしました。『鳩よ!』っていう文芸誌があったじゃないですか、昔。マガジンハウスから出てたやつ。そのパクリです。でも鳩より鳥全体に呼びかけたかった(そのときは)。

だから「鳥よ!」にして、そのまま7年くらい「鳥よ!」を続けて、子どもを産んで、子どもにブログばれしたら死ぬほど恥ずかしいなと思って消しました。

以上です。そんなに長くなかったや。

なんでこんなこと書いたかっていうと、あれですね、鳥が、ツイッターの鳥が、いなくなったからですね。

今、だから叫びたい。

「鳥よ!」